手術方法(最小侵襲手術)

腰椎疾患:手術

全身麻酔による最小侵襲手術(内視鏡下手術、顕微鏡下手術)の方法を記載しました。 主な手術のみ記載しましたが、その他の手術についても随時追加していく予定です。

※施設によって実施方法が異なる場合があるため、詳細については各施設の医師あるい はホームページ等でご確認ください。

国内

最小侵襲手術の標準手術といえるのがMED法(内視鏡下手術)とmicro-LOVE法(顕微鏡 下手術)です。内視鏡下手術は整形外科、顕微鏡下手術は主に脳神経外科で行われてい ます。

■切除術

MED法(内視鏡下椎間板ヘルニア手術)
方法

全身麻酔下で背中を16mm切開し、わずかに筋肉を開いて金属製の管を背骨まで挿入する。
管内に内視鏡を差し込み、椎弓に作業のための小さな穴を 開け黄色靭帯を切除して患部に到達する。
テレビモニターで確認しながら鉗子でヘルニアを切除する。

適応

・腰椎椎間板ヘルニアが適応となる。

・脊柱管狭窄を合併する患者にも、内視鏡下手術で脊柱管拡大を行った後、MED法を行うことが可能(一部の施設)。

・正中型ヘルニア(脊柱管正面のヘルニア)は、後外側型ヘルニアに比べて手術の難易度が高くなる。

・発生から長期間経過したヘルニアや、再手術から時間が経って再発したヘルニアなどで、瘢痕、癒着が強い場合には手術の難易度が高くなる。

特徴

・侵襲度が極めて低い。局所麻酔で皮膚に小さな穴を開けるだけですみ、筋肉、椎弓、靭帯を切除しなくてもよい。

・内視鏡下手術の基本となる手術。

・従来の標準手術であったLOVE法(目視下での切開手術)を、内視鏡下で実施する方法。成功率は90%以上。

・LOVE法に比べて正常組織(筋肉、椎弓、靭帯)への侵襲が明らかに少ないため、術後の痛みや合併症が少なく、入院も1週間以内ですむ。

実施
施設

・一部の整形外科で実施されているが、内視鏡下手術は高い技術を必要とするため、実施している病院、医師の数はそれほど多くない。

・日本整形外科学会 脊椎内視鏡下手術・技術認定医の技術が高い。

備考

ヘルニア切除術(MED法に限らない)では、髄核をどの程度切除するかが重要と考えられる。切除範囲が小さいと再発が危惧され、切除範囲が大きいと 椎間板の不安定性を招き術後腰痛等の発生が危惧されるが、現在どのような基準でどの範囲まで切除しているかはわからない。

Micro-LOVE法(顕微鏡下椎間板ヘルニア手術)
方法

MED法に類似した手術。MED法が内視鏡を使用するのに対し、本法では顕微鏡を使用する。
皮膚切開は約3cmで、筋肉剥離を行うため、MED法に比べて侵襲度は多少大きい。

適応

・腰椎椎間板ヘルニア

特徴

・従来の標準手術であったLOVE法(目視下での切開手術)を、顕微鏡下で実施する方法。

・LOVE法に比べて正常組織(筋肉、椎弓、靭帯)への侵襲が少ないため、術後の痛みや合併症が少なく、入院期間も1週間前後と短い。

実施
施設

・脳神経外科の標準手術で、一部の整形外科でも実施されている。

・日本脊髄外科学会の訓練施設および指導医のレベルが高い。

海外

ウリドゥル病院では、レーザーによる手術(OLD、OLM)が標準手術として実施されています。また固定術では、脊椎の可動性を維持する柔軟固定術(PDN、TDR)が実施されています。

■切除術:直接ヘルニアを切除する方法

レーザー椎間板切除術(OLD、OLM)
方法

全身麻酔下で皮膚を1.5〜2cm切開し、高速ドリルで椎弓を少し切除してから、微細顕微鏡または内視鏡下で、微細レーザーを使用して椎間板の断片を選 択的に除去する。
再発防止のため、レーザー等で線維輪の再形成を行う。

主な
適応

・PELDで効果がない損傷がひどく破裂した腰椎椎間板ヘルニア、骨棘、脊椎関節の異常、脊椎管狭窄症を伴う複合的ヘルニア患者など。

・難治性または再発性ヘルニア、高齢者にも実施可能。

特徴

・手術方法は、日本のMED法に近いが、ヘルニアの切除をレーザーで行うという点が大きく異なる(鉗子を使用しないため、神経や血管損傷の危険性が少ない)。

・病巣部のみを除去し、正常椎間板組織を温存するため、術後の椎間板の不安定性が生じにくい。

・入院期間が短い(75%が1〜3日、長くても1週間以内)。

実施
施設

・ウリドゥル病院は、脊椎疾患のレーザー治療において世界的に有名。

備考

ウリドゥル病院では腰椎椎間板ヘルニアの程度に応じて3段階のレーザー治療を行なっており、本法は最も重症度の高いヘルニアに対して実施される。

■固定術(柔軟固定)

部分人工椎間板髄核術(PDN)
方法

全身麻酔下で皮膚を3cm切開してから、微細顕微鏡下で椎間板まで接近する。自動吸引器で病変原因となる髄核を除去してから、人工椎間板髄核を挿入する。
人工椎間板髄核は、最初は硬いが4〜5時間たつと膨張しはじめ、手術後24時間には柔らかくなってクッションの役割を果たす。
挿入3〜4日後には、患者の椎間板の高さに合わせちょうど良く膨張、維持される。

主な
適応

・椎間板変性症患者

・慢性腰痛と下肢疼痛が同時にある慢性腰椎間板ヘルニア患者

・椎間板の高さが低く、神経が圧迫されて6ヶ月以上経っている症候性退行性椎間板内部障害症患者

特徴

・柔軟固定術で、脊椎の可動性が維持されるため、一般的な固定術で問題となる上下の椎間板の変性が起こりにくい。

・人工椎間板髄核は、問題になる椎間板髄核の代替品となるもので、正常な椎間板と調和し、狭くなった椎間板の間隔を広げる作用がある。

・入院期間は3〜7日で、成功率は約95%。

実施
施設

・ウリドゥル病院で実施している。

・日本で実施している施設はない。

備考

固定術の方法は、脊椎の可動性をできるだけ維持する柔軟固定術が世界の最先端となっている。

全体人工椎間板置換術(TDR)
方法

全身麻酔下で、4〜5cm腹部を切開してから患部に接近する。損傷した椎間板を自動吸引機で速やかに除去し、その部位に人工椎間板を挿入する。
輸血は必要なく、挿入した人工椎間板の位置を確認して手術が終わる。

主な
適応

・2年以上、腰の疼痛を我慢している退行性椎間板変性症

・椎間板の内部障害性腰痛

・再発性で脊椎不安定を伴う椎間板ヘルニア

・骨融合固定後、椎間板不安定変性症と脊椎管狭窄症などで脊椎再建が必要な患者 など

特徴

・柔軟固定術で、脊椎の可動性が維持されるため、一般的な固定術で問題となる上下の椎間板の変性が起こりにくい。

・入院期間は3〜7日で、成功率は約95%。

実施
施設

・ウリドゥル病院で実施している。

・日本で実施している施設はない。

備考

固定術の方法は、脊椎の可動性をできるだけ維持する柔軟固定術が世界の最先端となっている。


【参考資料】

・脊椎内視鏡下手術−基本手技から技術認定まで:日本整形外科学会脊椎内視鏡下手術・技術認定委員会監修,南江堂,2007

・低侵襲脊椎手術のコツとpitfall:Monthly Book Orthopaedics19(12),2006

・週刊朝日臨時増刊 手術数でわかるいい病院2007,朝日新聞社

・各種病院、学会ホームページ など